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補助金の採択率は本当に下がっているのか
「昔より補助金が通りにくくなった」とよく言われます。本当でしょうか。日本を代表する補助金であるものづくり補助金の全22回、事業再構築補助金の全13回について、公式に公表された申請数・採択数を集計して検証しました。結論は、よくある通説とはかなり違うものでした。
この分析の要点
- 採択率は一方向に下がってはいない。ものづくり補助金は 62%→31%→再び62%→34%と山あり谷ありで推移(レンジ29〜63%)
- ただし長期では緩やかに低下。前半11回の平均52%に対し、 後半11回は43%
- 「みんなが申請するから通らない」は誤り。 申請数と採択率の相関はほぼゼロ(r=-0.07)。採択率を決めるのは競争率ではなく、その回の予算・政策
- 同じ制度でも回によって採択率は2倍違う。 「ものづくりは何%」と一括りにはできない
分析の方法
- データ: 各補助金の公式サイトが公表する公募回ごとの申請者数・採択者数。 ものづくり補助金の全22回(申請計97,675件)、事業再構築補助金の全13回(申請計187,270件)
- 採択率: 「採択数 ÷ 申請数」で各回について算出
- 相関: 申請数と採択率のピアソン相関係数で「競争率が高いほど落ちる」説を検証
結果1: 採択率は「下がり続けている」わけではない
ものづくり補助金22回の採択率を並べると、単純な右肩下がりではありません。初回の62.5%から 4次で31.2%まで落ち込んだ後、8〜13次で再び60%前後まで回復し、 そして17次以降に再び30%台へ下落——という大きな波を描きます。 最高62.6%と最低29.4%で、2倍以上の開きがあります。

とはいえ、長い目で見れば緩やかな低下傾向はあります。前半11回の平均採択率52.3%に対し、 後半11回は42.7%。コロナ禍で採択が手厚かった時期を経て、足元は30%台で落ち着いています。 「昔より通りにくい」という体感は、この長期トレンドとしては正しいと言えます。
結果2: 「申請者が多いから通らない」は誤り
では、採択率が下がるのは「応募が殺到して競争率が上がるから」なのでしょうか。 申請数と採択率の関係を散布図にすると、答えははっきり「ノー」です。両者の相関係数はr=-0.07で、ほぼ無関係。 申請が1万件を超えた回でも、逆に数百件しかない回でも、採択率にきれいな傾向は見られません。

採択率を左右しているのは、応募者の数ではなくその回に用意された予算枠と政策方針だと考えるのが自然です。つまり「ライバルが多いかどうか」を気にするより、その回の採択率の水準そのものを確認するほうが、申請判断には役立ちます。
結果3: 事業再構築補助金は「緊急支援の山と谷」
もう一つの大型制度・事業再構築補助金(全13回)も見ておきましょう。こちらは通算採択率43.7%で、 第1回の36.1%から中盤に45%前後まで上がり、第11〜12回では26.5%まで低下、直近の第13回で35.5%に戻すという推移でした。 コロナ禍の緊急支援として手厚くスタートし、応募が10倍以上に膨らんだ後に引き締められた、 制度の性格がそのまま採択率の波に表れています。
2つの大型制度に共通するのは、採択率は「制度の年齢」や「その年の政策の力の入れ方」で動くということ。景気対策として立ち上がった直後は通りやすく、定着・縮小フェーズでは絞られていきます。
実務的な示唆
- 「この補助金は何%」で判断しない。同じ制度でも回によって2倍違います。 申請を検討しているその回の採択率を確認しましょう
- 競争率を気にしすぎない。申請者数と採択率はほぼ無関係。「今回は応募が多そうだからやめる」 という判断には根拠がありません
- 予算が手厚い立ち上げ期・拡充期は狙い目。新設・拡充された制度や枠は、 採択率が高く出やすい傾向があります
ホジョメトの採択率ページでは、主要制度の公募回ごとの採択率の最新値と推移を確認できます。
注意点
- 本分析は情報提供を目的としたもので、採択を保証・予測するものではありません。 最新の結果は各制度の公式ページをご確認ください
- 採択率は制度・公募回によって申請要件や枠(通常枠・特別枠など)が異なり、単純比較には限界があります
- 相関はものづくり補助金22回についての算出で、他制度で同じとは限りません
出典・データ
採択実績: ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)公式サイト、 事業再構築補助金 公式サイトの公表資料を当サイトが集計。集計・分析結果のみを掲載しています。 分析時点: 2026年7月。